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  • 執筆者の写真Hirokazu Kobayashi

植物が嫌う青色光で植物は人の役に立つ!*

小林裕和

(株)グリーン・インサイト・代表取締役/静岡県立大学・名誉教授・客員教授

 

農作物の成長は、光量、気温、降雨などの環境要因の影響を受ける。これらの条件が揃えば、高品質の農作物が高収量となる。しかし、豊作はしばしば低価格を招くため、生産者は複雑な思いのはずだ。一方、環境要因を人為的に変えることで農作物の付加価値を上げる例も見いだされる。照光時間を制御して開花させる電照ギク、栽培時に遮光する玉露や抹茶の原料となるチャ葉、清らかな流水が必要なワサビ、時期外れの石垣イチゴなど。変わったところでは、音楽が植物に与える影響について、1962年以降いくつかの論文が発表されている。癒やしの音楽は植物の成長を促し、ロックはその逆らしい。静岡県袋井市にあるエコパ・スタジアムの芝生にクラシック音楽を聞かせているという話に対し、科学者としての見解を求められたことがある。植物科学では、現象に対する機構が見出されて漸く事実として受け入れられる。音は空気振動として葉に伝わる。葉への接触を植物が感じる機構が解明されており、音の効果も類似の機構の介在を予想させる。

 

紫外線に代表される短波長光は、ヒトを含めた生体細胞にDNA切断などの傷害をもたらす。これを回避するために、短波長である青色光に植物が曝されると、抗酸化活性を有するポリフェノール類を蓄積する。一方、これをヒトが経口摂取すると、肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症、高尿酸血症、「がん」 などの生活習慣病の予防・改善効果に繋がる。そこで、ブロッコリー・スプラウトに青色光を照射すると、ポリフェノール類含量が3倍増大することを見出し、3件の特許を出願した。この事業化も社会貢献の1つになると考えている。




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