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  • 執筆者の写真Hirokazu Kobayashi

遺伝子を壊すと機能が高まる?*

更新日:5月15日

小林裕和

(株)グリーン・インサイト・代表取締役/静岡県立大学・名誉教授・客員教授

 

装置の部品を壊すとその働きが低下し、直すと機能が回復するのが通常だ。2012年に登場したゲノム編集を用いると、個々の高等動植物の約3万にも及ぶ遺伝子のうち、特定の遺伝子の特定の箇所を切断し、その修復時に置換、欠失、挿入が生じる。これにより、特定の遺伝子の機能が失われる。これをノックアウト (KO) 型ゲノム編集と呼ぶ。これは自然界で起こりうる変異と区別できない。すなわち、安全性の観点からは、食経験がある農作物と同等である。弊社ではこの技術により、デカフェの茶樹やコーヒーの木の作出を目指している。これは、原理として分かりやすく、遺伝子を壊してカフェイン合成を停止させる。一方、2020年12月に販売が発表されたGABA高蓄積トマトは、ヒトにリラックス効果をもたらすGABA濃度をKO型ゲノム編集により増強する。この仕組みはと言うと、GABAを合成する酵素にその合成を抑制する部分があり、そこの遺伝情報を壊すことでこの酵素の働きが強くなる。また、KO型ゲノム編集による肉厚マダイの例がある。この場合は、筋肉が増えすぎるのを抑える遺伝子の働きを欠失させている。生物体内の個々の現象には、プラスとマイナスの両方の制御系がある場合が多く、マイナスの方を潰せばプラスが強く作動すると言う仕組みだ。

 

植物は、太陽光を利用して空気中の炭酸ガスを吸収して炭水化物を合成し、水から酸素ガスを取り出す。この働きは 「光合成」 と呼ばれる。弊社はこの働きを抑える遺伝子を見出し、特許化した。この遺伝子を壊すと光合成活性が上がり、多くの炭水化物が合成され植物は一層大きくなる。現在そのようなブロッコリーを作製中だ。




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