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  • 執筆者の写真Hirokazu Kobayashi

日本の研究力:13位じゃダメなんでしょうか?

更新日:7 日前

小林裕和

(株)グリーン・インサイト・代表取締役/静岡県立大学・名誉教授・客員教授

 

「13位じゃダメなんでしょうか?」 ダメとは答弁しないが、日本の経済力にそぐわないのは何故だろう? 日本の研究力低下が随所で指摘されているが、これをどのようにしたら救えるか、目にする提案は説得力に欠けるように思える。研究力の評価は容易ではなく、フィンセント・ファン・ゴッホの絵画のように存命中は評価されず、死後にその価値が認められるような研究もある。問題点を残しつつ、いくつかある研究力指標の中で、「トップ10%補正論文数」 がよく用いられる。これは、当該論文がどれだけ引用されているかと言う引用数を多いものから並べ、上位10%に入っている論文の数を表す。さらに、研究分野ごとに並べると言う補正が入る。1998年〜2000年、日本の「トップ10%補正論文数」 は世界4位であり、1位のアメリカ合衆国には大きく引き離されているものの、2位のイギリス、3位のドイツとは僅差であった。しかしながら、2023年の発表では、日本の 「トップ10%補正論文数」 は13位に転落した。研究には、研究費が必要である。国の経済力は国内総生産 (GDP) で表される。そこで、この間にGDPがどうなったかと見てみると、2009年までは、アメリカ合衆国に次ぐ世界2位。2010年に中国に抜かれ、2023年ドイツに抜かれ、それでも世界4位。2023年の転落は円安の影響が大きいと思われる。

 

そうすると他に原因がありそうだ。2004年から国公立大学は独立行政法人化し、多くの公立大学がこれに追随した。国立大学法人化は、各大学が優れた教育や特色ある研究に工夫を凝らし、より個性豊かで魅力的な大学になることを目的としていた。当時、小泉純一郎が内閣総理大臣。膨れ上がる赤字国債にどう対処するか、80万人いた国家公務員から国立大学を切り離すことにより、約15万人の国家公務員を削減した。その結果、国公立大学教員は、社会からの見える化のための目標作成とその達成度評価、社会貢献としての公開講座など、運営費交付金から競争的配分へのシフトに伴う研究費獲得のための作業などにより、その研究時間が減少した。問題はここにある。


そこで、(1) 研究者の社会貢献や研究費獲得の労力軽減、さらに知財管理や事業化促進に対し、大学研究管理者であるURA (university research administrator) の増員およびその待遇改善が望まれる。(2) 実質的な運用収益を生むだけの基金を各大学が用意するには時間を要するため、10兆円ファンドの活用に加えて国家や地方自治体の援助が不可欠である。(3) 日本経済は主要国の中では唯一20年間に渡り成長が見られない。大学の財政的な自立を目指し、大学シーズの社会実装を大学経営に反映することが望まれる。(4) 各種事業において各大学を競わせるのではなく、政府や地方自治体が主導となり少子化に伴う大学の統廃合計画を作成し実施すべきではないか。

 



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