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  • 執筆者の写真Hirokazu Kobayashi

道路事情:その遺産、対策、“V2X” への展望!

更新日:5 日前

小林裕和

(株)グリーン・インサイト・代表取締役/静岡県立大学・名誉教授・客員教授


無駄なものを造らない」 のではなく、「造ったものを使わない」 ためか。トンネル内など3車線の最左車線に赤い 「ポール (棒)」 が立てられ、この車線が走れなくなっている。これは、「猪瀬ポール」 と呼ばれるらしい。新名神の 「四日市JCT」 から 「大津JCT」 までの69.8 km区間で、見ることができる。折角あるのに使わないのは何故だろう? 一方、新東名の 「御殿場JCT」 から 「浜松いなさJCT」 までの144.7 km区間は、2016年から制限時速が部分的に 「110 km/時」、さらに 「120 km/時」 に引き上げられた。2020年12月に、全区間を通して3車線となり、「120 km/時」 になった。これに伴い、以前あった 「ポール」 は見られなくなった。なお、この区間の設計速度は、「140 km/時」 とされている。

 

2001年、小泉政権は 「改革なくして成長なし」 のスローガンの下、特殊法人改革を推し進め、2002年6月に 「道路関係四公団民営化推進委員会」 が設立された。小泉純一郎 (1942年〜) 総理の要請により、猪瀬直樹氏 (1946年〜) を含む7名がこの委員に就任し、5名が利害関係者に切り崩されて委員を去る中、猪瀬氏らの活躍により民営化案の閣議決定が達成されたと聞く。2005年に四公団が民営化され、現在の姿になった。この間、2003年12月に開催された 「第1回国土開発幹線自動車道建設会議 (国幹会議)」 において、第二東名 (新東名) および第二名神 (新名神) は、片側3車線から片側2車線に見直された。すなわち、既に着工していた区間は、片側3車線でそのまま進められた。2012年石原慎太郎 (1932年〜2022年) 東京都知事の退任に伴い実施された知事選挙において、猪瀬氏は日本の選挙史上個ね人として最多得票記録で当選。これにより、青島幸男氏 (1932年〜2006年)、石原慎太郎氏に続く3人目の作家出身東京都知事の誕生となった。すなわち、猪瀬氏の政策を世論は支持していたと言える。

 

新東名の計画交通量は、全線片側3車線で62,000台/日。現在の最多区間は、約57,700台/日 (2021年:長泉沼津ICー新富士IC)。新名神の計画交通量は、41,600台/日。現在の最多区間は、約47,800台/日 (2021年:甲南ICー信楽IC)。これらは既に計画交通量に近いあるいは越えており、全線3車線で開通するとさらに増加することが予想される。私は2021年9月以降仕事の関係で、静岡と奈良の間を 「新東名 (新静岡IC)ー伊勢湾岸ー新名神ー京滋バイパスー第二京阪ー新名神ー京奈和道 (山田川IC)」 ルートにて (新名神を2回通るのは新名神の途中区間が繋がっていないため)、高速道路のみで片道309.5 kmとなり、これを30回以上往復し。このルートでは集中渋滞が起こることが少なくなく、現在の交通量でほぼ限界に達していると理解する。


夜間のサービスエリア (SA) やパーキングエリア (PA) では、大型トラックが所狭しと高速道路の路肩や本線に合流する加速車線などに長時間駐停車しており、普通乗用車からは怖いと感じることが多い。これは、「深夜割引の功罪」 である。深夜12時を過ぎてから高速道路を下りると、通行料が3割引になる。これを待っている。トラック運転手の身になっても早く仕事を終えたいはずなのに、その労務に一層の負荷を掛けている。土日はこれがないので、一般乗用車は助かる。これは、「交通量の分散」 を狙ったものだろうが、明らかに弊害の方が大きい。物流業界を支援したいのなら、標準の通行料を下げればよい。あるいは、SAやPAのトラック駐車スペースを増やすべきだと強く思う。


同乗者を含め、トイレがないのは高齢者泣かせである。高速道路には、通常SAあるいはPAが30 kmおきぐらいにある。しかしながら、私が利用する上記ルートでは、「京滋バイパスー第二京阪ー新名神―京奈和道」、「名神・草津PA」 から数えて47.4 km区間にトイレが1つもない。また、「京滋バイパス」 から 「京都縦貫自動車道」 に入る場合も、「名神・草津PA」 から 「南丹PA」 までの計58.3 kmの区間にトイレがない。これらは、「高規格幹線道路」 であっても、「高速自動車国道」 ではない 「自動車専用道路」 である。そのため、PA設置に関し、高速道路網としての利用に対する配慮に欠ける。「京滋バイパス」 は総長27.1 kmであり、PAは必要ないとの考えであろうが、利用者は複数の高速道路間を跨いで走る。利用者から見ていずれも有料区間であり、ユーザー・フレンドリーであって欲しい。


物流は日本経済の根幹をなし、また行き先での公共交通の便が悪い場合の人の移動においても、高速道路は重要な手段となる。費用対効果と安全性の観点から、長期的な展望に立った改革が求められる。SDGs、加えて日本では少子化に伴う人口規模縮小、これらを考慮すべきである。すなわち、一層の複車線化と言うような拡大路線ではなく、既存のインフラの高度活用が望まれる。取り分け期待されるのが、自動運転の高度化。通行車両数が増え車間距離が取れなくなると、自然渋滞となる。しかし、車両密度が増えても、速度を維持して安全に走れることが自動運転の目指すところ。自動運転の進展は、先ずは運転手の負荷の軽減と安全性の確保から始まる。現時点の自動運転は、「レベル2」。最終型は 「レベル5」 と定義される。これは完全自動運転であり、自動車システムがすべての運転を行い、人による操作は不要との概念だ。2027年には、「レベル5」 での公道実証実験が計画されていると聞く。自動車生産各社がこの技術開発に凌ぎを削っている。安全と効率を確保したより高度な自動運転を行うには、自動車間のコミュニケーションが必要となる。さらに、費用対効果を加味した最低限の道路インフラ整備が不可欠だと思う。例えば、交通信号は、太陽の位置で逆光になるときは色を認識しずらい。そこで、電波発信などにより 「緑」、「黄」、「赤」 を知らせる。これらの技術は既に指向されている。自動車間のコミュニケーション (Vehicle-to-Vehicle:V2V)、さらに車両からインフラへの通信 (Vehicle-to-Infrastructure:V2I) と言う概念であり、これらの技術を総称してV2X (Vehicle-to-Everything ) と呼ぶ。これらにより、車両同士や車両とインフラがリアルタイムに情報を共有し、より安全でかつ効率的な運転を可能とする。これにより、道路輸送は完成型に至ったと言える。




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