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  • 執筆者の写真Hirokazu Kobayashi

欧米はフィードバック主義 vs 日本は完璧主義!

更新日:5月19日

小林裕和

(株)グリーン・インサイト・代表取締役/静岡県立大学・名誉教授・客員教授

 

日本と欧米には、思考パターンに違いがある。科学は英語を共通の言語として、世界中で研究結果や試料を共有しながら発展する。1990年代から各生物種のゲノム (遺伝情報) 解析が進んだ。当初はゲノム情報が少ない微生物から始まり、やがてヒトに。現在では1,000以上の生物種について、その全配列 (リファレンス配列) が決定されている。ゲノム解析と平行して、各生物種のDNA断片や変異株を世界中の研究者が共有するようになった。この目的に対し、私が研究に用いているモデル植物シロイヌナズナについては、ABRC (Arabidopsis Biological Resource Center) がオハイオ州立大学に設立された。日本では、理化学研究所BRC (バイオリソース研究センター) がこれに当たる。ABRCにシロイヌナズナ変異系統の種子分譲をインターネットでお願いすると、植物検疫証明書と発送に必要な経費、それに送料を加えた実費のクレジットカード決済で届く。しかしながら、目的の変異が消失してしまっていることが少なくない。一方、BRCの場合は、提供依頼書類に記入してメール添付で送ると、後払いで届く。BRCの場合は確実なものが届くことが多い。ABRCの場合は、取り分け、新しく樹立した変異系統を分譲する場合など、不確かなまま分譲し、結果のフィードバックを得ることにより、変異系統群の価値を確かなものにしていく。日本人は相対的に生真面目で責任感が強い。したがって、経費を取る以上、確実なものを提供しようとする。

 

工業製品も世界で共有されており、車もその1つである。欧米では車を提供後、ユーザーからのフィードバックを受けながら、よりよいものに仕上げていくケースが多い。ヨーロッパ車、アメリカ車の場合、3年間あるいは4年間、または36,000マイルあるいは50,000マイルまでの無料保証が付くことが多い。この間はリコールを含めて、何度かディーラに車を預けることになる。一方、国内販売の国産車については、そのような制度はあまり見かけない。すなわち、完成品を提供しようとする。日本のこの種の慎重姿勢が裏目に出たケースがある。車への自動運転機能の装着だ。これは、2018年に 「自動運転に係る制度整備大綱」 が公表、2019年に 「改正道路交通法」 が施行され、これら法整備の遅れに起因する。しかしながら、その背景には日本人の心配性と完璧主義が付きまとう。すなわち、命を預ける車の運転を自動化することへの抵抗が、日本では強かった。


私の実家は京都府福知山市、その中でもバスは日に3往復ぐらいという不便な場所。90歳に近い両親は、老人ホームに入居してもらった。一方、私は静岡市で仕事があった。いつ呼び出しが掛かるか分からない状態で、夜でも移動できることを加味し、車を移動手段として選択することとした。2015年に前の車が不調になり、買い換えたいと思った。当時、日本車で自動運転に対応しているものはなかった。そこで、安全と自動運転を売りにしているヨーロッパ車から目的のものを選ぶこととした。フラッグシップ・モデルに導入された自動運転技術は、年月を経て汎用車モデルに降ろされていく。2014年発売の車に自動運転機能が入った。この場合、7個のレーダー、2個のカメラ、4個の超音波という3種類のセンサーを駆使し、全方位を監視しながら走るので、運転していて安心感がある。その結果、長距離運転をしても疲れにくい。超音波は低速走行のみに使われるが、これら3種類のセンサーからの情報を整理し、コンピュータが操舵と速度を制御する。命を預かる制御機構なので、不備が見つかると事前に警告が出る設定になっている。4年を過ぎたころから警告が多くなり、部品更新の頻度が増え維持費が高くなった。そこで、2022年に同クラスの新モデルに買い換えた。新モデルでは、自動運転と運転手の操作との親和性が高く、安心感が向上していると同時に運転の疲れが一層軽減されていた。ヨーロッパ車はあくまで 「運転支援」 といっており、自動運転を前面に出すアメリカ合衆国に本社がある電気自動車の会社とは異なる。現在の自動運転は 「レベル2」 が主流であり、これが 「運転支援」 であることを認識していれば、人を目的地まで連れて行ってくれる安全で優れた手段である。




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