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  • 執筆者の写真Hirokazu Kobayashi

二足のわらじの 「すゝめ」!

更新日:7 日前

小林裕和

(株)グリーン・インサイト・代表取締役/静岡県立大学・名誉教授・客員教授

 

取り組む課題で行き詰まることは、何方も経験する。その際の答えは3択であろう。(1) 諦める。(2) 悩み続ける。(3) 観点を変えて情報を得る。言い方を変えると他分野に学ぶ。私は、(3) をお勧めする。これには、安易にはインターネット検索あるいは人に聞くことが挙げられる。今なら、AIも活用に値する。ともかく他分野を覗いてみよう。色々と面白いものが転がっており、大抵は解決策が見つかる。その積み重ねにより、解決に繋がる方法論の選択肢が増える。学問体系で見てみよう。自然基礎科学は、数学、物理学、化学、生物学に大別できるが。その融合領域として、数理物理学、物理化学、生化学、ケミカルバイオロジー、生物物理学が挙げられる。現在の研究分野は、これらの融合領域にシフトしている。応用分野では医工連携が注目されている。私の職場は大学であったが、そこは研究機関であると同時に教育機関だ。社会はπ (パイ) 型人材を欲している。π型人材とは、πという文字に足が2本あるように、2つの学問領域に精通した人材のことである。大きな領域でくくると、文系と武道の融合が文武両道。あるいは、文系と理系の融合が、文理融合となる。私が研究推進部門長を務めた奈良先端科学技術大学院大学では、バイオ、情報、物質の3分野を1研究科に統合し、各領域間の融合教育を開始した。私が30年弱務めた静岡県立大学では、薬学と食品栄養科学を統合した大学院薬食生命科学総合学府を開設した。このように、融合領域を制することにより活躍の場が拡がり、これらの人材や事業化に対する世間の期待が大きい。


私の研究者人生を振り返ると、私は生命現象、取り分け身近な植物のそれに興味を抱いた。したがって、大学は農学部へ進んだ。そこで、病原体に対する植物の抵抗性あるいは感受性が植物の品種ごとに異なるのは何故だろうと考えた。すべての生命現象は化学の言葉で説明できるはずである。よって、大学院では生化学を学んだ。生命現象は遺伝情報とその発現制御機構によって支配されている。それゆえ、遺伝子を研究したいと思い、博士研究員としては分子生物学を学んだ。生化学では化学分子が、分子生物学では遺伝を司る分子が研究対象となる。しかしながら、遺伝という現象を突き詰めるなら、これら分子を対象とする方法論のみでは行き詰まる。そこで、分子遺伝学という方法論を取り入れた。私は大学を定年退職後は、教授時代に積み上げた特許情報を活用したいと思い起業した。今は、会社経営を勉強中。多足のわらじはなかなか楽しいものである。「二足のわらじを履く」 は、英語では “wearing two hats (2つの帽子を被る)” という。この例えの違いも興味深い。

 



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