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執筆者の写真Hirokazu Kobayashi

静岡:日本のカリフォルニア!*

更新日:7月10日

小林裕和

(株)グリーン・インサイト・代表取締役/静岡県立大学・名誉教授・客員教授

 

鈴木さんという方を見かけて、「『静岡県』のご出身ですか?」 と聞くと大抵は当たっている。でも、「『静岡』のご出身ですか?」 と聞くと、「いいえ違います。『浜松』です。」 と返ってくることがある。尋ねる側は、「静岡」 で 「静岡県」 をイメージしているのだが、彼らにはこだわりがある。静岡県は東西に長く、新幹線の駅が6つある。西から東に向かって、古くは遠州 (遠江)、駿河、伊豆と呼ばれ、気候・風土が異なる。年間降雪日で見ると、浜松市が7.3日、静岡市が3.1日、三島市が3.6日となっている。都道府県別降雪日で見ると、沖縄県を除く最下位が宮崎県の3.6日なので、静岡市の3.1日は、沖縄県以外の日本で一番雪が降らない地ということになる。年間降雪日は、東京が10.6日、名古屋が19.3日である。これは、新幹線で静岡に帰ってくるとよく分かる。東京駅や名古屋駅のホームで震え上がっていても、静岡駅で降りると別世界だ。静岡市は、徳川家康 (1543年〜1616年) が晩年を過ごした地であり、余生を送るには適している。冬場、この地に雪は降らないのに、富士山の冠雪はほぼ毎日といっていいほど望める。贅沢な地だ。

 

静岡は日本のほぼ真ん中に位置するのに、南の宮崎県より雪が降らないと言うのは不思議である。地質学的には、富士山の辺りでユーラシアプレート、北米プレート、フィリピン海プレートの3つが衝突している。これにより、日本一高い富士山、近海として日本一深い駿河湾、そして伊豆半島が生まれ、南アルプス (赤石山脈) が作られた。その結果、静岡県中部は三方の山が北風を遮り、暖流の影響もあり、温暖な気候となった。そして、豊かな農海産物を育んでいる。明治元年、旧幕臣たちが静岡県の牧之原に入植して茶栽培を開始し、静岡県は日本一の茶生産地となった。そして清水港は、その輸出で賑わい、造船の町としても栄えた。大消費地である首都圏東京に近いこともあり、医薬品、サプリメント、医療機器、エアコン、印刷装置などの生産において、日本一。また、富士・箱根・伊豆は世界に誇る観光地となった。このような静岡の魅力を見直し、大学の社会貢献を探るべく、公開講座 「10年後の静岡を創るスーパーセミナー:知の丘を往く」 および静岡新聞連載 「静岡県立大発 まんが しずおかのDNA」 を企画実施した。

 

すなわち、静岡は住んでよし、弊社のようなバイオ製品開発会社にとって、連携先が見出しやすいという利点も大きい。世界で一番住みたいところはどこかと聞かれると、私は迷わず、「気候的にはカリフォルニア」 と答える。そういう憧れを込めて、静岡を 「日本のカリフォルニア」 と呼びたい。




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