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執筆者の写真Hirokazu Kobayashi

古稀からが生きがい!

更新日:2024年6月21日

小林裕和

(株)グリーン・インサイト・代表取締役/静岡県立大学・名誉教授・客員教授

 

人の仕草、話し方、声は、55年経ても余り変わらない。顔や風体は誰だか分からないほど変貌する。最近、中学校の古稀同窓会に参加した。前回は還暦同窓会だったので、多くの参加者とは10年ぶり。前回の不参加者とは、ほぼ55年ぶりの再開となった。名前を聞いて、その面影はしっかり残っていると 「認識」 できる。さらに各自の近況報告を聞くと、面白い話、真面目な話、短い話、長い話。その 「認識」 は、「確信」 に変わる。聞く態度も同様。しっかり聞いている人、隣と話している人、茶々を入れる人。55年前の授業風景が蘇る。現役をほぼ終えた世代として、時間と空間を共有したこれら同窓生のネットワークを大切にしたいと思う。ホームページやLINEグループを通じて、交流を続けようと呼びかけた。

 

「生きがい」 とは主観であり、個人に帰属する。また、その主観は環境の影響を受ける。2年間弱暮らしたアメリカ合衆国より、私はヨーロッパの気風が好きだ。国ごとの気質や文化の違いとして、イギリスとフランスの対比は興味深い。個人的な例外はあるという前提だが、イギリス人は 「生きるために食べている」 。一方、フランス人は 「食べるために生きている」 という印象を受ける。具体的には、イギリス食は質素で薄味、かつ食事に時間を掛けない。フランスはその逆で、彼らは食べ物に関してなら話題も大好き。フランスで食事に誘われると、夕方から深夜までに及び、飲食を楽しみながら親交を深めることになる。私自身は、イギリスよりフランス的価値観の方が受け入れやすい。私の場合は、食べ物というより、好きなことをしているうちに古稀になったのだ。これを 「ラテン的楽観主義」 と呼ぶこととし、幸運にも感謝する。ある音楽家が、「人生に音楽以上に価値があることはありますか」と言っていたが、私に言わすと、「研究」 以上に楽しいことはなく、職業は 「研究者」、趣味は 「研究」 である。口を挟みすぎて大学の運営にも関与したが、「好奇心と勘違いの自信」 をモットーとしてきた。

 

生きるために働くというイギリス的人生観は、日本人のそれに近いものがある。日本は2007年より超高齢社会に突入した。超高齢社会とは、65歳以上が全人口の21%以上と定義されている。日本は、これで世界の最前線に位置する。日本での定年は延伸しつつあるが、未だ60歳が主流で、その後は嘱託で70歳ぐらいまで働くケースも見受けられる。そこで、体が元気で多少の蓄えがあればと言う前提になるが、古稀になると好きなことができる。世の中の役に立ちたい人、趣味を楽しみたい人、家族との時間を大切にしたい人、未だ稼ぎたい人など。私の大学時代の友人は、毎日が 「サンデー毎日」 だと称し、夫婦で夏は北海道、冬はタイで過ごしている。私はと言うと、好きな 「研究」 を継続し、できたら世のため、また金儲けにも繋がらないかと画策し、大学を定年退職後会社を立ち上げた。これには定年がないのが利点。公的や民間財団の助成金を受けつつ、植物バイオテクノロジーの開発と事業化に取り組んでいる。

 



 

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